何気なく手に取ったファッション雑誌
普段は興味の湧かないそれのある記事にふと目が留まった。

「『異性の体で一番好きな部分』?」

それはよくある読者アンケートの結果集計記事。
こんなの調べて何かの役に立つのか、と首を捻りながらもぱらぱらとページを捲る。
女性から見た男性の体・・・

アスランの体で一番好きな部分?



女の私がたまに遣る瀬無くなる程に綺麗な顔
そんな事あいつに言うと甘ったるく「カガリのほうが可愛い」とか言うけど

長くて細い指
でも女の指ともまた違っていて、あの指で髪を梳かれるとくすぐったいけどとても安心する

細身なのに筋肉のついた腕とか背中
そういえば胸板とかも意外に厚くて・・・
抱きしめられた時に自分との違いにすごく驚いた



そういうことを思い出してるとそれに付随した恥ずかしい記憶達も出てきてしまう。

アスランの体を間近で見ている状況を思い出し、カガリは一人赤面した。


切なげに伏せている長い睫
素肌に感じるアスランの感触


だめだだめだ、思い出すな!!
これ以上は絶対に思い出すな、私!!



「思いだすなって何を?」
「うわぁ!」


背後からいきなりアスランの声がしてびくっと肩を震わせた。
気が付けばすぐ側にアスランが来ていて楽しそうに私を見ている。

アスランはこうやってたまに気配を消して近寄ってくるから心臓に悪い。


「お、お前いつからそこにいたんだよ」
「カガリがだめだだめだって頭抱えてた時からかな」
「・・・黙って見てるなんて性格悪いぞ」

頬をむくれさせて非難するが効果はないようで。
後ろから私を抱きしめるアスランがくすくすと笑うのが背中から感じとれた。


「異性の体で一番好きな部分?」


床に落ちた雑誌を見てアスランが呟く。


「あ、ああ、何か今月の特集みたいでさ」
「へぇ。・・・カガリは?」
「え?」
「異性の体で一番好きな所」

いきなり尋ねられ困ったようにアスランを見るが、こっちを覗き込んでくる目はどこか楽しそうだ。
からかわれてる
そう直感してカガリはアスランに捲し立てた。


「じゃあ、お前はどうなんだよ」
「俺?」
「そうだ!!」
「俺は全部かな」
「全部?」
「そう、カガリの体全部」
「っっ!!」

顔に体中の血液が集まる。

真っ赤になっている間に体を拘束していた腕を離されると、軽々持ち上げられ近くのソファに運ばれる。
膝の上に座らせられて、秀麗なアスランの顔がいつもより間近に見えた。
それが恥ずかしくて伏せた顔を、大きな両手でやんわりと軌道変更させられてしまう。
お互いの視線がぶつかる。


「全部好きだけど敢えて言うなら『目』かな」
「どうして?」

特に珍しくもない琥珀色なのに

「俺をいつも真っ直ぐ見てくれる強い目だから」

さらりと言われた言葉にまた熱がぶり返してくる。

「それは・・・買いかぶりすぎだ、ぞ」

また可愛くない事を言ってしまうがアスランは微笑んだままだ。
優しげな翠に胸が疼く。
吸い込まれてしまいそうに美しい極上のエメラルド。


「私もお前の目が一番好きだ」

照れながら精一杯伝えた言葉にさらにアスランは笑みを深めて。
ゆっくりと近づいてくるアスランに応じるようにそっと瞳を閉じた。


――――閉ざした瞳の向こう、アスランの瞳が妖しく光った事には気付かぬままに―――――



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